2000年8月25日読了
女性主人公の強さに引かれる。強い女性は多いけど、個人の中の本能というか、衝動というか、あんまり理屈では説明できない力に動かされる強さは好きだ。でも、この本、推理小説だと思ってよんでいたんだけど、結局、主人公の子どもを誘拐した犯人は明かされなかった。考えてみたら推理小説でなく、子どもの誘拐事件をめぐる人間像を描き出すのがテーマなのね。でもちょっと欲求不満になった。
2000年8月15日読了
共同通信記者で、おもに少年問題を追いつづける。少年たちのおこした神戸、広島、新潟の事件が気にかかっていたので読んでみた。新書版でアダルトチルドレン、オウムをはじめとする宗教がらみの話が続く。著者は個々の事例に没入しすぎるきらいがあるものの、わかりやすく書いてある。
この本を読んで気づいたのは少年犯罪うんぬんではなく、そういうテーマにそれほど興味をもてなくなった自分だ。心理学科の学生として、不安な青年期をとおりすぎた大人として、こういうテーマには人一倍興味をもっていたのだが、今はそれどころではなくなってしまった。生活を維持していくのや、子どもの相手をするのが精一杯だ。次にこういう本を開くのは子どもが思春期を迎えた頃だろうと思う。
2000年8月10日読了
昨年、映画になったのを文庫本で見つけたのでかった。重蔵という秀吉を殺すことに執念を燃やす忍者が主人公。後半まで手に汗を握る展開。でも、最後の最後で秀吉の枕もとまで達しながら、なぜとどめを刺さなかったのかがピンとこなかったし、重蔵の命を狙っていた忍者・五平が実は大泥棒の石川五右衛門だったなんてあまりにも子供だましじゃないのかな?また、女忍者・小萩との愛が実って、最後は伊賀に帰り、世帯を持って、隠居しちゃうというラストも気に食わない。やっぱり、忍者は壮絶に死んでもらわないと歴史小説って感じがしない。