うちの奥さんが珍しく漫画を買ってきたので、つられて読みました。
きっと映画公開で興味がわいたのだと思います。
全4巻で3巻の中頃までストーリーは快調に進みます。
さすが、漫画界の巨匠、ストーリー・テリングの真骨頂と関心しながら読みました。
が、しかーし、3巻後半から4巻に書けていきなりストーリーが単調になり、単なる妖怪退治になってしまい、結末のわけのわからなさはなんなんだー、と消化不良になった気がしました。
手塚治虫の漫画で印象に残っているのは週刊文春に連載された「アドルフに告ぐ」でした。
歴史・人間の運命が絡み合い、重厚な結末になったのが印象的でした。
しかし「どろろ」の結末は薄すぎ。
まぁ、「アドルフに告ぐ」は成年向け、「どろろ」は少年向けなので、同じ土俵で比べるのがおかしいのかもしれません。
不満は3つあります。
一つはなぜ、表題が「どろろ」なんだろう? ということです。
主人公は明らかに百鬼丸なのに。
話の筋からしても、百鬼丸が、妖怪に奪われた48の器官を取り戻すため、妖怪と戦い、だんだん人間らしくなっていくという"変化"があるのに、どろろは全巻を通じで百鬼丸の周りを飛び回っているだけで成長しません。
二つめは、物語上のクライマックスが欠けている点です。
具体的には、百鬼丸と父・富樫公との対決はないの?ということです。百鬼丸がそもそもああいう体になったのは、富樫が天下を取るために、妖怪と取引をしたせいです。
当然、作者としてはクライマックスを親子対決にもってくるはず。
その決着もつけられないままでした。
三つめは、結末の納得感のなさです。
百鬼丸が完全な人間の肉体を取り戻すのには48の妖怪を倒さなければならないのに、18の妖怪を倒したところで終わっています。
また、唐突に百鬼丸が去っていく結末は、明らかに映画「シx-X」のパクリです。
あげていくときりがないのですが、作者の健康上の都合、出版社の都合とかで無理矢理、終了せざるを得なかった不幸な漫画なのかもしれない、と思いました。