2000年10月5日(木)読了
コンサルティング会社の社員というと抜け目のないエリートで、大企業の重役を相手に大きなビジネスをおこない、しかも高給取りというイメージ。この本を読むと彼らのやった仕事が必ずしも顧客の役にたったことばかりではなく、コンサルティング会社の食い物にされたり、かえって業務が大混乱してしまった事例が載っている。しかし、経営難の病院のコンサルティングの章は圧巻だ。特定の病気に罹った患者の診察方法、投薬方法、保険コスト、治癒までのプロセスなどを丹念に調べ上げ、経済モデルを組み立て、病院を専門病院として甦らせ、患者の苦痛を減らし、しかも政府の保険コストも低減するという物語だ。世の中の仕組みを変え、より便利な仕組みを提案し、実現できるのはまさに「知の勝利」という感じがする。分厚くてひとつひとつのストーリーが長い。退屈な個所もいくつかある。
2000年10月4日(水)読了
哲学者土屋教授の本。ユーモアエッセイ集。実に面白い。本屋で見つけたら絶対買って読むべし。エッセイの端々に出る女房への一言が実に気持ちいい。絶対面白い。本屋でなければwww.amazon.co.jpで買うといいよ。
2000年10月2日(月)読了
元銀行員で銀行の内幕や暴露話を得意とする横田濱夫氏の著作。アトラクティブなタイトルの割には内容は常識的でパーソナル・ファイナンス入門という感じ。資産は分散して投資しろとか、時間を見方につけろとか、借金はするなという極めてオーソドックスな内容。銀行員時代のエピソードが織り込まれ、週刊誌を読むかんじで気楽に読める。
2000年9月4日(月)読了
アトランタへ出張に行った時にこの本を見つけた。この本は日経ビジネスで紹介されていて、頭の片隅にあったのだが、ベストセラーとして平積みされていたので衝動買いしてしまった。簡単に言うとこの本はRobert Kiyosaki というハワイ出身の日系人が、いかに金持ちになるかという誰もが一度は描く夢をどう実現するのか、ということを書いる本だ。Poor Dadというのはかつてハワイ州の教育委員長(?)という要職についていた人で著者の実父だ。Rich Dadというのは著者の小学生時代の友人の父親で、資産家であり、実業家である。この本では少年時代の著者にRich Dadがお金持ちになる手ほどきをするという構成になっている。Poor Dadは反面教師みたいなもので一般的な米国人の価値観を体現しているような存在である。
日本の本屋でも「一億円を貯める本」とか「株で3億儲ける方法」とか、逮捕されてしまったF・Hが書いたと言われる「50億貯めずして何が人間かっ!」という、タイトルからして怪しいにおいプンプンのものがある。「Rich Dad, Poor Dad」もそうした類の怪しい本かと思ったのだが、ベストセラーになるだけあって中身は結構ちゃんとしており、しかも易しい英語なので、会社の行き帰りの電車の中で読みきってしまった。今は続編の「CASHFLOW Quadrant」という本を読んでいる。
ぼくが一番、この本で興味をもったのは、会社や政府の提供する年金に頼らず、みんなが自分の判断で投資をおこない財産を増やし、老後の生活も維持できるような人生設計を組み立てよう、というような著者の考えかたを、「アメリカ人」に対して訴えかけているところだ。日本人は投資リスクの理解が足らないといわれている。低金利時代には米国人のように自分で投資リスクを考えていく習慣をつけていかなければならないと、経済評論家はしたり顔で話すのだけど、実は普通のアメリカ人も日本人と同じように、「いい学校にはいり、いい成績をとり、安全な、倒産しないような企業に勤めて、老後は年金をもらって楽しく暮らそう」と考えていることがわかっておもしろい。
ここで出てくるRich(金持ち)とは働かなくても食べていけるだけの投資収入を得られる金融資産や不動産を保有している人たちと定義されており、著者は47歳でRichの仲間入りになった。RichになるためにはPoor Dadは「学校でいい成績をとり、いい会社に勤めることだ」と言い、Rich Dadは「金融リテラシ(知識?・知恵?)を磨き、マネージメントを学べ」とアドバイスする。著者も学校教育の中で金融リテラシを高めるような教育がされずに、いい学科成績を取ることのみが重視され、大部分の学生がそれに盲目的に従うことに警鐘を発している。
2000年8月30日読了
藤野氏はゴールドマン・サックス投信の中小株を得意とするFM(ファンドマネージャー)。地道に会社訪問を繰り返し、芽の出そうな投資先を見つけ出すのが彼のミッションだ。その中で経験したことを本に書いてある。例えば「回顧録を出した経営者のいる会社には投資しない」etcが記述されている。新書版で簡単に読める。
この前、名古屋で某都市銀行連合が発売する投資信託の記念セミナーがあり、その中のパネルディスカッションの中で藤野氏も出ていた。この投信は5つの運用会社が設定した投信を一本にまとめて発売するというもので、5つの中にゴールドマンがはいっていたのだ。5社は日系3社、外資系2社だったが、総じて外資系のパネリストの発言のほうがおもしろい。司会の人が
「今年の経済成長率はどのくらいでしょうか?」
日系投信会社某FM 「...指数、為替の水準、消費者物価指数からして、当社では...」
と真面目に答えようとする。ところがフィディリティ投信のタルボットという日本語の達者な米人FMは鼻から
「経済成長率はわかりませんし、興味も全然湧きません」と一発ブチかまし、
「経済成長率の上下に関係なく、中小の優良企業を訪問によって探し出し、投資し、積み上げ、担当する投信の成績を上げるようにするのが私のミッションです。」
投資家としてはそれが聞きたいのだ、ということをばっちり言ってくれ、販売される投信に過剰な期待を抱かせる発言もなかった。藤野氏の発言も非常にユーモアがあって面白かった。どう面白かったかは本を読んでのお楽しみ。