2001年1月4日(木)読了
「ぼっけえ、きょうてえ」に続く岡山怪奇談集第二弾。文句なく面白い。おすすめ。舞台は「ぼっけえ...」と同じく明治後期の岡山市。主人公は隻眼の女霊媒師。この霊媒師の前に様々な人間、生霊、死霊が訪れる。「ぼっけえ...」がどちらかというとおどろおどろしい死の世界を、人間界と対立するものとして描いているが、「岡山女」はこの霊媒師を通じ、日常の世界のところどころに潜む死の世界、情念の世界を描く。特にこの本の中で「岡山ハイカラ勧商場」がいい。勧商場とは今でいうデパートのことだが、たくさんの人が行き交うデパートの中に潜む霊、霊と共存しながら生きていく人間を描いており秀逸である。
岩井氏はぼくより一歳年上の36歳。この歳でこれだけのものを書けるなんて、すばらしい。これからも楽しみな作家の一人である。